視神経萎縮について

■定義
 視神経萎縮とは、視神経の外傷や炎症、変性、血管性病変、腫瘍および周囲組織の視神経に対する圧迫などにより、視神経線維の軸索変性と機能消失をきたしたものと定義する。
 臨床的には、検眼鏡で視神経乳頭を観察し、網膜神経線維層の脱落と、視神経乳頭の色調変化(黄色〜白色味を帯びている)により視神経萎縮と診断される。
 しかし、視神経乳頭の色調は、視神経線維の萎縮の他に、毛細血管の状態、グリア細胞や結合組織の増殖の程度などの要素も関与しており、萎縮性変化には必ずしも並行しているわけではなく、注意を要するところである。
 視神経線維の萎縮の進行方向により、大脳の方へ進む上行性萎縮と、網膜側へ進む下行性萎縮に分けられる。

■分類(検眼鏡所見による)
@単性視神経萎縮
 球後神経の障害により、逆行性に視神経乳頭に変化が生じたもの。
 視神経乳頭は陶白色となり、境界鮮明で混濁はなく、篩状板の透視は良好。
 定型的なものとして、視神経の外傷、切断、脊髄勞性視神経萎縮、トルコ鞍近傍の腫瘍による視神経への圧迫病変などがある。

A炎性視神経萎縮
 視神経乳頭部での浮腫性病変が生じた結果によるもの。
 視神経乳頭の境界は不鮮明で、色調は灰白色〜汚い白色。視神経乳頭組織のグリア細胞や中胚葉性組織の増殖のために視神経乳頭の混濁がみられ、篩状板は透視できない。また、視神経乳頭上血管はグリア性白鞘で覆われていることが多い。
 うっ血乳頭、視神経炎などの後にみられる。

B網膜性視神経萎縮
 網膜病変により、経シナプス的に広範囲の網膜神経節細胞が障害されたことによる視神経萎縮。
 網膜動脈の狭細化や網膜実質の変性・萎縮をともない、視神経乳頭は黄白色を帯びて境界不鮮明となる。

C緑内障性視神経萎縮
 緑内障による視神経萎縮。
 視神経乳頭陥凹が拡大し、辺縁は菲薄化するが、色調は良好〜蒼白を認める。また、変形した篩状板が見られる。

■症状
 視力障害、視野欠損を認める。

■治療
 確立された治療法はないが、経角膜電気刺激が有効であるとする報告もある。

 

 ■参考文献
  ○今日の眼疾患治療指針
  ○現代の眼科学(改定第11版) 金原出版 2012年
  ○イラスト眼科(第6版) 文光堂 2001年
  ○眼疾患治療指針ハンドブック 医薬ジャーナル社 2005年                 →目の病気のページへ


病気の話

■眼の病気
■その他の病気
■中医眼科

ちょこっと息抜き

■院長ブログ
■face book
■秋英堂通信

秋英堂の名前の由来

治療院名となっている「秋英」とは秋桜、コスモスの中国語名の1つです。花言葉の1つに「調和」ということばがあります。
からだとこころの調和、ひとと自然との調和、ひと同志の調和を目指した治療院にしたいという思いから、「秋英堂(しゅうえいどう)治療院」と名付けました。