緑内障、網膜色素変性症、黄斑変性、糖尿病網膜症の鍼灸は藤沢の秋英堂
はりきゅう専門秋英堂治療院
251-0002 藤沢市大鋸2-7-9
TEL:0466-65-1489
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眼疾患に対応できる鍼灸治療院として
人間は外界からの情報の約9割を視覚、すなわち眼から入手しています。この事実からだけでも、私たちの日常生活がどれだけ視覚に依存しているかが伺えます。 物の形や色、遠近、明暗などを正常に認識し、生涯を通じてその機能を可能な限り維持していくことが生活の質を保ち、充実した人生を送ることに繋がると言っても過言ではありません。
一方で、様々な眼疾患、あるいは全身疾患によって視力や視野の異常が引き起こされ、生活の質に大きな影響を及ぼすこともまた周知の事実であります。近年の眼科領域における診断・治療技術の進歩は目覚ましいものがありますが、そのような状況であっても今なお改善や完治の難しい眼疾患が存在するのも事実です。
当院は愛知県で眼科領域の疾患を専門に鍼灸治療を行っている「針灸専門・千秋針灸院」の提携治療院として、眼科領域の疾患をお持ちの患者さんを中心に鍼灸治療を行っています。
主に視覚障害の原因疾患として頻度の高い緑内障や、糖尿病網膜症、黄斑部疾患(加齢黄斑変性など)、網膜色素変性症などの鍼灸治療を通じて、患者さんの視機能をはじめとしたQoL(Quality of Life:生活の質)全般の改善・維持に努めています。
(右図:視覚障害の原疾患の推移、糖尿病合併症最前線 SEASONAL Post 2013年Vol.5 No.3 秋号より抜粋)
緑内障に対する当院の取り組み
日本人において緑内障は40歳以上の約5%(20人に1人)に見られる疾患であり、視覚障害の原因疾患の第1位とされています。かつては「緑内障イコール失明」という考え方もありましたが、医療機器の進歩による早期発見や新しい点眼薬の開発によって眼圧が以前と比べてコントロールされやすくなり、今では『生涯を通じて上手に付き合い視機能を維持できる疾患』という考え方に変わってきました。
しかし、一方で点眼薬での治療で眼圧がコントロールされにくい、あるいは眼圧コントロールが良好なのにも関わらず視野欠損が進行するケースもあります。これらのケースではさらなる眼圧コントロールのために点眼薬を増やしたり、あるいはSLTなどのレーザー治療や、房水流出能を改善させる手術なども行われます。
当院に来院される緑内障の患者さんは点眼薬のみの治療のかたや、あるいはすでに手術をしている方まで、治療歴には幅があります。ご存知の通り緑内障は今のところ完治させられる病気ではないので、当然病院での定期的な検査や治療は欠かさず受けていただくことが前提ですが、それらと併用して鍼灸治療をも定期的に受けていただいています。
東北大学のグループが開放隅角緑内障で点眼薬治療をしている患者さんに対し、鍼治療前後1時間における眼圧の変化を記録した研究があります。鍼治療をすることで眼圧が治療前よりも優位に低下し、さらに網膜中心動脈や視神経の栄養血管である短後毛様(体)動脈の血管抵抗も減少(血流が増加)するという研究結果を報告しています。
(Shin Takayama, Takashi Seki etc, "Short-Term Effects of Acupuncture on Open-Angle Glaucoma in Retrobulbar Circulation: Additional Therapy to Standard Medication" Evidence-Based Complementary and Alternative Medicine, Volume2011)
このことは緑内障の治療において眼圧コントロール不良の症例や、あるいは眼圧コントロールが良好でも視神経の血流障害によって視野欠損が進行すると考えられる症例に対して、鍼治療を併用することが意義あるものとして示されたのではないでしょうか。
当院で治療を受けられた緑内障の患者さんで眼圧の経過が良好だった症例←
糖尿病網膜症に対する当院の取り組み
糖尿病の本体は血管障害であり、初期においては血糖値の異常以外に自覚症状がなく、血糖値の異常だけでは病識を持ちにくいかもしれません。そのため早期から治療を受けずに無治療のまま過ごしてしまい、進行して合併症が発症した段階で治療が開始するケースも珍しくありません。
合併症には「網膜症」「腎症」「神経障害」が3大合併症として有名ですが、秋英堂治療院では糖尿病網膜症に対しての鍼灸治療を行い、視機能の改善・維持に努めています。
2013年の視覚障害において、糖尿病網膜症は緑内障に次いで2番目に多い原疾患となっています。1991年から順位は下がってはいるものの、依然として頻度の高い疾患であることに違いはありません。
糖尿病網膜症は眼の中の状態によって「単純網膜症」→「前増殖網膜症」→「増殖網膜症」と段階を経ていきます。単純網膜症や前増殖網膜症においては自覚症状がないことが多く病気の進行に気がつかないほどです。増殖網膜症になって出血や網膜剥離などを起こして視野に異常を感じたりして眼科を受診し、そこで初めて糖尿病と診断され治療を開始したという患者さんを何人も診てくると、改めて糖尿病の早期発見・治療の重症性を認識させられます。
さて、糖尿病網膜症の現代医学的な治療の全体像と、その中でどのような目的で鍼灸治療を行っているかを 下の図にまとめました。(画像をクリックすると拡大表示されます)
糖尿病全体の治療の目標は血糖を良好にコントロールすることであり、各種合併症治療下においても内科的治療は不可欠です。糖尿病網膜症の治療において重要なのは眼科と内科とがお互いに患者さんの情報を共有し、適切な治療を行うことと言えるでしょう。内科的な血糖コントロールを基盤に、眼科では眼の状態に応じてレーザー治療や抗血管新生薬(抗VEGF薬)、ステロイド、硝子体手術などを通じて患者さんの視機能の維持を図ります。
網膜症をはじめ、糖尿病に対する鍼灸治療の考え方はわかりやすく言うと「血流の改善」です。糖尿病では血管障害による血流改善が各種合併症やそれに伴う症状などを引き起こしてきます。鍼灸によって血流を改善し、末梢組織に十分な酸素や栄養素を運搬させることによって糖尿病の進行を抑え、合併症の発症を予防することを治療の目標としています。
網膜症には最初に述べたように進行過程によって単純網膜症、前増殖網膜症、増殖網膜症の3つに分けられています。自覚症状もなく進行度もまだ軽度な単純網膜症の段階から治療を開始するのが理想ではあるのですが、症状のない状態で鍼灸治療を受けようと考えるのはやはり難しいと思います。そのためでもあるのですが、当院に来院される患者さんの全てが増殖網膜症で眼底や硝子体の出血を引き起こし、視力や視野に障害を抱えた状態で来られます。
血流の改善(漢方的には「活血」という考え方)を基盤にして、鍼灸治療の目的は大きく以下の3つに分けられます。
@出血の吸収を促進し、視機能の改善を図ること。
A血管壁の強化を図り、新たな出血を予防すること。
B再発の予防、視機能を維持させること。
このうち治療開始時は@とAに力を入れ、出血が吸収されて視野障害が改善し、新たな出血がないことを一定期間確認できたらBに移行していく形をとっています。
眼底血を起こすと患者さんは「視界に黒い塊が覆いかぶさって見える」、「糸くずや藻のようなものが視界に散らばって見える」ということをおっしゃります。さらに出血が硝子体に及ぶと「視界が白く濁ったり、時に濁りが薄くなったり」と訴えます。
眼底出血は比較的吸収速度が速く、治療を開始すると視界の黒い塊や糸くずが小さくなったり数が少なくなっていくのが感じられやすい一方、硝子体出血はゼリー状の液体の中に血液成分が入り込んでいる状態なので吸収されるのが遅く、出血量にもよりますが一般的には早くても3か月はかかると言われています。ただ、それでも鍼灸治療を行うことで吸収が早まる傾向はあり、視界の濁りが薄皮を剥ぐように改善していきます。 硝子体内に血液が長期間残存していると、血液中の鉄分の影響で網膜の機能が低下し、その結果血液が吸収されても視力は回復しにくくなることもあります。そのような理由から、できるだけ早く硝子体出血を吸収させる必要があるのです。
黄斑部疾患(加齢黄斑変性など)に対する当院の取り組み
概要・疫学
黄斑部疾患とは網膜の黄斑部と呼ばれるところに浮腫や新生血管が出現したり、出血や萎縮などが起こることによって生じる視力低下、変視(物が歪んで見える)、中心暗点(視界中央の黒や灰白色のもや状の影)を主症状とする眼疾患の総称です。近視や糖尿病などが原因となって生じることもありますが、近年我が国でも多くみられるようになったのが「加齢黄斑変性」です。
もともと欧米で多くみられた疾患ですが、最近では日本でも高齢化や食生活の欧米化に伴って、患者数が増加傾向にあり、中途失明の原疾患の第3位となっています。
久山スタディにおける50歳以上の人口における有病率は0.87%で、原因はまだはっきりしていませんが、強度近視や精神ストレス、喫煙、加齢などの関与が指摘されています。
本症の病態は,萎縮型と滲出型に大別されます。萎縮型は病状の進行が緩徐ではありますが、有効な治療法がないのが現状です。本国においては萎縮型があまり見られず、むしろ滲出型、すなわち新生血管の発生と同部位からの出血が、臨床上大きな問題となることが多いとされています。
検査
近年、蛍光眼底造影検査や,光干渉断層計(Optical Coherence Tomography:OCT)などにより,単純な眼底写真のみではわからなかった網膜の状態が,より詳細に把握できるようになり、確実な診断や治療のために今や必要不可欠な測定機器の1つとして活用されています。
(下図はインターネットより引用、一部改変)
変視 |
中心暗点 |
滲出型加齢黄斑変性の病態 |
治療
治療は大きく@前駆病変、A萎縮型、B滲出型の3つに大きく分けられます。
前駆病変と萎縮型においては経過観察のほか、ライフスタイルと食生活の改善、加齢性眼疾患研究に基づくサプリメント摂取が推奨されています。
ライフスタイルに関しては喫煙歴と加齢黄斑変性発症との関連が証明されているため、禁煙を指導されます。
食生活については欧米の研究で抗酸化物質を多く含む食物摂取が加齢黄斑変性のリスクを軽減させることが明らかになっています。ルテインが豊富に存在する濃緑色野菜(ホウレンソウ、ケール、ブロッコリ等)、あるいはゼアキサンチンが豊富に存在する野菜・果物(トウモロコシ、モモ、カキ、マンゴ等)や、サケのようなω-3系脂肪酸に富んだ冷水魚の摂取頻度の高い人で加齢黄斑変性のリスクが低いことが最近の試験で明らかにされています。
また、漢方でもよく利用される枸杞子、つまりクコの実に含まれる色素成分の1つ「ゼアキサンチン」が、加齢黄斑変性や白内障の予防作用を有することが動物実験から示されています。(Experimental Eye Research Vol:75(5) pp.529-542, 2002 他)
サプリメントに関しては日本人における明確な有用性の証明はないが、欧米において高用量のビタミンC、ビタミンE、βカロチン、亜鉛の内服が加齢黄斑変性発症と視力低下のリスクを低下させることが報告されており、諸外国ではサプリメント摂取が加齢黄斑変性の標準治療となっている。
滲出型加齢黄斑変性については、まず視力成績に影響を及ぼす脈絡膜新生血管の位置によって治療法が選択されます。具体的には中心窩を含むか否かで分けられています。
新生血管が中心窩を含まない場合はレーザー光凝固が選択される。これは1991年の海外の研究をもとに現在でもエビデンスのい治療法とされています。
一方、中心窩下病変については治療に対する反応性が異なるとされる3つの病型によって初回治療の方針が分けられます。
典型加齢黄斑変性
典型加齢黄斑変性はさらに病変タイプが3つに分けられますが、全てのタイプにおいて抗VEGF薬の有効性が認められており、初回治療については一律に抗VEGF薬単独療法が適応となっています。
ポリープ状脈絡膜血管症
これは日本で頻度が高い特殊病型です。日本人の光線力学的療法ガイドラインにおいてポリープ状脈絡膜血管症では優位の視力改善が認められていることから、光線力学的療法単独または抗VEGF薬との併用療法が推奨治療とされています。
近年は光線力学的療法単独よりも併用療法のほうが視力成績が良好で、光線力学的療法の合併症としての出血の頻度を低下させるという報告が相次いでいます。しかし光線力学的療法の適応は視力0.1〜0.5であり、視力0.6以上の視力良好例に対しては抗VEGF薬の単独療法も適応があると考えられています。
網膜血管腫状増殖
頻度は少ないが最も難治性の特殊病型です。光線力学的療法単独では他の病型に比べて視力維持に限界があり、抗VEGF薬の単独療法では治療回数が多くなる傾向があることから、光線力学的療法と抗VEGF薬の併用療法が初回からの推奨治療とされています。
ただし視力0.6以上の視力良好例においては、治療者自身の判断により抗VEGF単独での治療になることもあります。
初回治療後は矯正視力、細隙灯顕微鏡による眼底検査、光干渉断層計(OCT)による経過観察が行われます。それぞれの療法によって治療間隔が異なりますが、急激な変化が現れた時には蛍光眼底造影を行い、上記の治療を適宜追加していきます。
黄斑部疾患4症例におけるアムスラーチャートの鍼治療開始後の変化←
網膜色素変性症に対する当院の取り組み
工事中
秋英堂の治療方針
来院される患者さんの多くが医療機関に通院されています。鍼灸治療にあたっては現代医学の検査結果を治療効果の基本指標としながら、東洋医学(中医学)の考え方に基づいて施術を行っていきます。治療効果を引き出し、回復した体の機能を維持していくために必要な 食事などの生活習慣についてもアドバイスいたします。
眼の症状以外のことについても、つらい症状や気になる症状がございましたらお気軽にお問合せください。