近視について


 近視とは「近くは見えて遠くが見えにくい」状態です。
 
 眼に入ってきた光は通常、網膜と呼ばれる眼の奥の部分で集約します(正視)。

 しかし、種々の要因で網膜より手前で集約してしまい、結果として近くは見えるが遠くが見づらくなるのが近視です。
(図:眼科学、金芳堂、1997年より抜粋、一部改変)

 光が網膜の手前で集約してしまう要因はいくつかあります。

 @眼軸の延長(軸性近視)
 眼球の前後径が正常よりも長くなることで、網膜で光が集約できないことによります。その結果、近くの物を見るときにはピントが合ってよく見えますが、遠くの物を見るときはピントが合わず見えにくくなります。近視の大部分はこの眼軸の延長によるものです。眼鏡による矯正が必要になってきますが、常に眼鏡をかけていなければならないというわけではありません。視力にもよりますが、日常生活で支障の出る範囲、例えば学校の黒板が見づらいというような時はかけるようにし、それ以外は眼鏡を外しておくようにしてもいいでしょう。
 長くなった眼軸そのものを元に戻すことは出来ません。針灸治療の目的は、眼精疲労や首・肩の凝りを取り、進行を遅らせることが主となります。

 A屈折異常(屈折性近視)
 眼軸に関係なく、角膜・水晶体(レンズ)などの屈折力が正常よりも強くなり、それにより網膜の手前で光が集約してしまうことによります。このタイプの近視は比較的稀です。 円錐角膜などがこのタイプの近視の代表例です。

 B調節機能の異常(偽近視・仮性近視)
 水晶体(レンズ)の厚みは毛様体筋と呼ばれる眼の中の筋肉が縮んだり緩んだりすることで調節されていて、近くの物を見るときは毛様体筋が縮んでレンズの厚みが厚くなり、遠くの物を見るときは筋が緩んでレンズの厚みが薄くなることでピントを調節します。しかし読書やパソコンなどの近業により毛様体の緊張が過度になった結果、レンズの厚みを調節する機能が低下することにより近視様状態になります。特に学童期で勉強量が急激に増えた子供に多く見られます。このようなケースでは、眼科でもまずは仮性近視の可能性を考慮して、いきなり眼鏡で矯正することはせず、点眼薬などで経過をみることが多いでしょう。

 近視に対しては基本的に眼鏡やコンタクトレンズで矯正することなりますが、近視を進行させないためにも過矯正にならないよう気をつけることが大切です。ただ、コンタクトレンズの使用に関しては、角膜への負担を軽減するためにも必要最低限度の使用にとどめ、眼鏡を中心に使用することをお勧めします。
 手術による矯正もあります。角膜に放射状の切開を入れて角膜の彎曲度を変え、屈折度を矯正する「放射状角膜切開」や、レーザー角膜内削形成(LASIK)・レーザー屈折矯正角膜切除術(PRK)です。
 最近、某眼科クリニックの術後感染症による眼の障害がマスコミに取り上げられ、原因は手術器具の不十分な滅菌によるものとのことでした。器具の滅菌が確実に行われていれば、このようなことにはならなかったはずです。

手術により視力が急激に回復することが言われている一方、手術後の長期経過後のデータについてはまだ少ないのが現状であり、角膜への手術が今後どのような影響を及ぼすのかについては、注目していかなければならないかと思います。

鍼灸治療の目的

 近視の人は視力の低下だけではなく、首や肩の凝りなどを訴えるケースが多くみられます。鍼灸では眼の周りや、首・肩などにも鍼をすることで毛様体筋をはじめ全身の筋肉の緊張を和らげ、眼部への血流を増やすことでピントの調節機能を改善する働きが期待できます。特に調節機能の異常による近視には最も有効であると考えられます。また、上述の通り、軸性近視においても眼精疲労を改善させ、近視の進行を抑制する目的で鍼灸治療は有効と考えます。




病気の話

■眼の病気
■その他の病気
■中医眼科

ちょこっと息抜き

■院長ブログ
■face book
■秋英堂通信

秋英堂の名前の由来

治療院名となっている「秋英」とは秋桜、コスモスの中国語名の1つです。花言葉の1つに「調和」ということばがあります。
からだとこころの調和、ひとと自然との調和、ひと同志の調和を目指した治療院にしたいという思いから、「秋英堂(しゅうえいどう)治療院」と名付けました。